ごあいさつ
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結成30年の節目を迎えて
Virtual Wind Symphonyのホームページへようこそ。
当団の歴史は、1995(平成7)年に「スクールバンドを卒業して楽器を離れてしまったけれど、ブランクがあっても気軽に楽器を再び手に取り、自分のペースで参加できるバンドを作ろう!」という趣旨に賛同して集まった発起人で楽団を結成したことに始まり、本年2025(令和7)年12月に30年の節目を迎えます。
結成当初に目指した、メーリングリストやホームページを使ったインターネットでの情報交換と情報発信という「オンラインでの活動」と、気軽に集まって合奏練習するという「オフラインでの活動」を同時に行うスタイルは、試行錯誤を繰り返しながらの楽団運営。また、当初学生だったメンバーも就職や結婚(大人の吹奏楽団らしく、人生の伴侶と楽団を通じて出会う「団内結婚」も数組ありました。)や出産、子育てや介護、仕事のシフトが不定期・・・など、様々な事情を抱えるようになり、「子連れで楽器を楽しみたい」という声に応えようと保育導入の検討をおこなうなど(当時の団員の理解が得られず残念ながら頓挫してしまい、一旦楽団を去ることになった団員もいて忸怩たる思いでした。)時代の要請に、試行錯誤を積み重ねて臨んで来た道のりでした。
結成当時20世紀だった時代は21世紀へ移り変わり、結成当初の団員の子どもが楽団に還ってくる時代に・・・。元号も平成から令和へと変わり2020(令和2)年に始まった未曾有かつ世界規模のコロナ禍を経た現在では、飛躍的なテクノロジーの進化によりSNSでの国境をも簡単に超える情報発信、遠隔地でのオンライン合奏などの活動も可能になり、各地で子育て中の女性の集う場としての「ママさんブラス」が広がるなど、私たちが試行錯誤を重ねる中において実現できなかった様々な事柄、それ以上に想定を超えた新しいツールを活用した運営などの先進的な取り組みが次々と全国各地の皆様の不断の努力によって実現し、もはや「当たり前」の時代になりました。
私たちが加盟する吹奏楽連盟の全国組織である一般社団法人全日本吹奏楽連盟の会報「すいそうがく」に掲載されている総会・理事会等の会議録、「理事長所信」等の記載を拝見すると、2024(令和4)年8月9日に公表された文化庁参事官(芸術文化担当)から発表された「文化部活動の地域移行に関する検討会議提言」と関連する施策(いわゆる国の「部活動の地域移行」・・・昨年12月の国の審議会では地域の負担増への懸念に配慮し「部活展開」という言い方に変更するよう提言されましたが・・・。)について、特に今年は政府の掲げる「改革推進期間」の最終年度にあたることもあり、学校教育現場における対応への議論が大きなウエイトを占めるように感じられます。(なお、政府の動きとしては経済産業省において、文部科学省(スポーツ庁、文化庁)の議論に呼応するように、2022(令和2)年9月28日、「−地域×スポーツクラブ産業研究会 最終提言−」として、「未来のブカツ」ビジョンが取りまとめられ、様々な運営主体が提供する地域のスポーツクラブ活動による従来の学校部活動とは異なる多様性に富んだ姿のイメージが示されています。その後、2024(令和6)年7月12日に「音楽産業の新たな時代に即したビジネスモデルの在り方に関する報告書」を公表している経済産業省。「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律(平成2年法律第七十一号 )」を共同所管する文部科学省の動きとあわせ、これら学校現場に対する施策が一般バンドの活動にどのような影響が及ぼすのか、政府の施策の動向にも注目しています。)
急速な「少子高齢化」が進み、厚生労働省の「我が国の人口」によると、我が国の人口は近年減少局面を迎えており、2070年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は39%の水準になると推計されています。また、団塊の世代の方々が全て75歳となる今年には、75歳以上の人口が全人口の約18%となり、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%となると推計されており、まさに「少子高齢化」の局面において「未来を担う子どもたちに音楽に親しむ場を残したい!」「これからの我が国の吹奏楽の灯を消さない」ためにも「部活動の地域展開」は各地で活動し、地方行政との繋がりや運営のノウハウを持つ、社会人が自主運営している吹奏楽団(一般バンド)がカギとなっており「部活動の地域展開」に対応しようと試行錯誤する全国各地の実践について様々な媒体で折に触れ拝見し本当に頭が下がる想いでおります。
政府においては、「音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関する法律(平成6年法律第百七号)」を制定し、音楽団体への支援として「地方公共団体の事業」も第4条4号に「当該地方公共団体の設置する学校の教育に支障のない限り、その学校の施設を音楽学習のための住民の利用に供すること。 」との規定がされております。ただし、第4条自体「ねばならない」(義務)規定ではなく「努める」(努力)規定のため、地方公共団体(=都道府県や市区町村)の財政状況、重点施策の方向性によって状況が全く異なるのが現状です。
一方、現実社会に目を向けると、日常生活の中・・・例えば職場などで「学生時代、吹奏楽やっていました!」という話題で会話が弾む機会が目に見えて増え、吹奏楽経験者の人口が当団の結成当時より明らかに増加していることを肌で感じます。しかしながら、お話を良く伺うと残念ながら「学校を卒業して楽器を辞めてしまい、今楽器は、実家に眠っているんですよ・・・。」という声も聞く場面に接し、音楽の楽しさを経験しながらも学校の部活動を卒業して楽器から離れてしまう方も多いことも同時に肌で感じ、非常に忸怩たる思いでおります。(「そういうあなたこそ、ウェルカムです!一緒にウチの楽団で楽しみませんか?」と言いたくなります・・・。)
吹奏楽経験者人口の増加に伴って一般バンドも増えてきました。「全日本吹奏楽コンクールを目指したい!」という一般バンドもあれば、「ひたすら音楽を楽しみたい!」という一般バンドもあり、本当に皆様の考え方は多種多様。「大人になっても吹奏楽を続けていきたい」という方としては選択肢が増え、自分のライフスタイルに合った活動を続けられる時代になってきました。
そのような中、私たちは30年あまりの経験を経て技術の進歩でめまぐるしく社会情勢が変化していく中においても「吹奏楽コンクールやコンテストは出場するものではなく、できる範囲で吹奏楽連盟の運営のお手伝いを積極的にするもの!」と考え、「合同演奏会」や「バーベキュー大会」など様々な事業が充実している東京都一般吹奏楽連盟に加盟させて頂いている「横の繋がりとご縁」を大切にしながら、「無理なく自分のペースで」という結成の趣旨を大切に活動してきた矜持を持ち、私たちらしい活動を「細く、長く」続けていければと、30年目の節目を前に改めて考えております。
「なかなか一歩を踏み出せない・・・。」と思っているみなさん。一歩を踏み出して、私たちと一緒に音楽を楽しんでみませんか。
最後に、当団の結成時から現在まで、いくつもの困難な時期にあっても、いつも変わらずご指導くださり、私達の活動を温かく見守り、支えて下さっている東京都一般吹奏楽連盟並びに東京都吹奏楽連盟と加盟団体はじめ関係者の皆様方に心よりお礼申し上げます。
令和7年1月1日
Virtual Wind Symphony 団員一同
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